毎年、私の会社では大学院生向けのインターンシップを実施している。
今年は例年の約1.9倍もの応募があり、私の所属する自働化推進チームでも8名の学生を受け入れることになった。
昨年までは、生産技術部で技術開発用に使用している三菱電機PLCとFANUCロボットを用いて、簡単な設備の立ち上げを体験してもらうプログラムを3日間かけて実施していた。
ところが昨年、別事業部から安川電機製ロボットを2台譲り受ける機会があった。せっかくならこれを活用しようと思い、今年はKEYENCE製PLCと組み合わせた簡易ロボットシステムを新たに構築し、インターンシップの教材として活用する計画を進めていた。
■「去年と同じでいいだろう」から始まった課題作成
課題づくりを始めた当初は、
- 装置の動作フロー図を作成する
- ラダープログラムを読んで理解する
- ロボットを操作する
- 簡単な設備立ち上げを体験する
といった内容を中心に考えていた。
昨年の内容をベースに進めたこともあり、資料はすでに7割ほど完成している。
正直なところ、
「去年と同じ方向性で進めれば大きな問題はないだろう」
と考えていた。
■エントリーシートを読んで感じた違和感
しかし、その考えを大きく変える出来事があった。
インターンシップ参加予定者のエントリーシートに目を通したときだ。
そこには、
- 「自働化がどのようなプロセスで実現されるのか知りたい」
- 「効率的な設備開発の進め方を学びたい」
- 「生産技術者の考え方を知りたい」
- 「設備を作る前の検討プロセスに興味がある」
といった内容が数多く書いてあった。
もちろん、どこまでが本音なのかは分からない。
しかし少なくとも、学生たちが期待しているのは単なるPLCやロボットの操作体験ではなく、
「自働化を考える人の思考プロセス」
であるように感じた。
その瞬間、
「これはまずい」
と思った。
私が作っていた課題は、「設備を動かす体験」にはなっていても、「なぜその設備が必要なのか」「どうやって自働化を考えるのか」という部分が抜け落ちていた。
■生産技術の面白さは設備そのものではない
改めて考えてみると、生産技術の仕事の本質はPLCのプログラムを書いたり、ロボットを動かしたりすることだけではない。
- 現状の作業を分析する
- 課題を抽出する
- 自働化できる部分を見極める
- 投資効果やリスクを考える
- 最適な工程を設計する
こうした検討の積み重ねがあって初めて設備開発が始まる。
むしろ、設備が動き出す前の「考える時間」のほうが長く、そして面白い部分かもしれない。
そう考えると、学生たちが知りたいと言っている内容は、生産技術の本質にかなり近いのではないかと思えてきた。
■今年のテーマを見直すことにした
そこで、一度立ち止まってプログラム全体を見直すことにする。
とはいえ、実際の生産設備のテーマをそのまま扱うわけにはいかない。
そこで、
架空の製品を題材に、自働化構想を考える演習
を取り入れてみようと考えている。
例えば、
- 手作業工程を理解する
- 問題点を整理する
- 自働化案を検討する
- グループで発表する
といった流れ。
さらに後半では、実際に私たちが製作した安川ロボット設備を見てもらい、
- 改善できそうな点は何か
- 別の方法はないか
- 自分ならどう設計するか
を考えてもらう機会も作れそうだ。
単なる「体験」ではなく、「考える」時間を増やしたいと思っている。
■あと1か月。それでも手を抜きたくない
受け入れ開始までは、残り約1か月。
上司からは、
「そんなに時間をかけるな」
と言われている。
正論だと思う。
一方で、このインターンシップをきっかけに入社を決めてくれた社員が実際に何人もいる。
そう考えると、目の前の仕事として割り切ることもできない。
もちろん、たった3日間だ。
その短い期間で生産技術のすべてを伝えることはできない。
それでも、
- 生産技術とは何か
- 自働化とは何か
- 仕事の面白さはどこにあるのか
そんなことを少しでも感じてもらえたら十分価値があると思った。
今年のインターンシップが終わったとき、
「ロボットを動かせて楽しかった」
だけではなく、
「生産技術という仕事の見方が変わった」
そう思って帰ってもらえるような3日間にしたい。
そんなことを考えながら、今日も課題づくりを続けてこうと思う。

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