自働化設備の構想を始めると、多くの人がある壁にぶつかる。
「どういう構成にすればよいのだろうか」
これは経験の浅い人に限った話ではない。
むしろ真面目で責任感の強い人ほど、この壁にはまりやすいように思う。
私も以前、部下に設備構想を任せた際に同じような場面に遭遇した。
話を聞いてみると、
- ロボットは何を使うべきか
- 搬送方法はどうするべきか
- 何台のロボットが必要か
- 目標タクトに間に合うのか
といったことを延々と考えていた。
もちろん、どれも設備構想では重要な検討項目である。
しかし、それらを最初から完璧に決めようとしている限り、設備構想はなかなか前へ進まない。
■専用設備には正解がない
そもそも、自働化設備の構想という仕事は少し特殊だ。
例えば数学の問題であれば答えがある。
設計基準や規格についても一定の正解が存在する。
しかし専用生産設備には、それがない。
極端な話をすれば、
- 部品を投入して
- 要求品質を満たした製品をつくり
- 必要な生産量を達成できる
のであれば、設備としては成立している。
その方法は一つではない。
ロボットを1台使う方法もあれば2台使う方法もある。
直線レイアウトもあれば円形レイアウトもある。
人との協働を前提とする構成もあれば、完全自動化を目指す構成もある。
どれか一つが絶対的な正解というわけではない。
だからこそ難しい。
■「最適解」を探すほど動けなくなる
構想設計が止まってしまう人は、往々にして最適解を探している。
もっと良い構成があるのではないか。
もっと安くできるのではないか。
もっと最新の技術が使えるのではないか。
そんな風に考え始める。
その結果、構想図は描けない。
設備仕様も決まらない。
検討だけが増えていく。
しかし考えてみてほしい。
設備は実際に作ってみなければ分からないことだらけである。
流してみたら想定と違うこともある。
組んでみたら治具が使いづらいこともある。
運用してみたら思わぬ作業負荷が発生することもある。
つまり、最初の段階で100点の設備を作ること自体が不可能なのだ。
それなのに100点を探してしまう。
だから前に進めなくなる。
■まずは60点でも形にする
私が設備構想を行うときは、
「これが最適解か」
ではなく、
「まずは成立しそうか」
を考える。
最初から100点を目指さない。
60点でもいい。
まずは一つの設備構成として成立する形を描いてみる。
すると不思議なもので、
- この部分は無理がある
- ここはロボットが不要かもしれない
- この工程は人作業の方が良い
といった改善点が自然と見えてくる。
一方で、何も描かなければ改善点すら見えない。
設備構想とは、完成品を一発で描く仕事ではなく、仮説を修正しながら精度を上げていく仕事なのだと思う。
■前へ進むことに価値がある
設備開発では、止まっている時間が最も価値を生まない。
もちろん十分な検討は必要だ。
しかし、それ以上に重要なのは前へ進むことである。
構想図を描く。
検証する。
問題を見つける。
修正する。
その繰り返しによって設備は形になっていく。
完璧な構想を待っていても、設備は1台も完成しない。
■まとめ
自働化設備に絶対的な正解はない。
だからこそ、構想設計の初期段階で最適解を探し続ける必要もない。
むしろ大切なのは、
- まず仮説を立てる
- 設備を成立させる
- 問題点を見つける
- 改善する
というサイクルを回すことだ。
設備構想で行き詰まったときは、
「これは100点か?」
ではなく、
「まず動きそうか?」
と考えてみる。
案外そこから、自働化設備づくりは前に進み始める。

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