良い設備は「作れる設備」ではなく「使い続けられる設備」

工程設計

自働化設備の構想をしていると、つい能力や最新技術に目が向きがちになる。

  • 生産能力はどこまで上げられるか
  • 人をどこまで減らせるか
  • どこまで自動化できるか
  • 最新のロボットや機器を活用できないか

もちろん、どれも設備開発において重要な視点だ。

しかし私は、設備構想をするときに別のことを考えるようにしている。

それは、

「この設備を毎日使うことになっても困らないか」

ということだ。

■生産能力が高ければ良い設備なのか

例えば、人手作業では一日100個しか作れない製品があるとする。

そこに自働化設備を導入し、一日1000個作れるようになった。

数字だけを見れば素晴らしい成果だ。

しかし、その設備が

  • 部品供給を一瞬も止められない
  • 作業者が常に張り付いていなければならない
  • 少しの遅れで生産能力が大きく落ちる

という設備だったらどうだろう。

設備自体の能力は高いかもしれない。

だが、実際に運用する人はどう感じるだろうか。

始業から終業まで設備を止めないよう神経を張り詰める毎日。

私ならそんな設備は使いたくない。

設備は導入することが目的ではない。

毎日安定して運用できることが目的だ。

■設備は完成した瞬間からが本番

設備構想をしていると、どうしても導入までに意識が向く。

しかし現実には、設備は完成した後の方が圧倒的に長い期間使われる。

むしろ設備担当者の仕事は、導入後に始まると言ってもいい。

そのため、

  • 異常が起きたらどう復旧するのか
  • 品種変更は簡単か
  • 誰でも運用できるのか
  • 保全はしやすいか

といったことも設備構想の段階から考えなければならない。

■技術的に優秀な設備が運用しやすいとは限らない

以前から感じていることだが、

「すごい設備」

「使いやすい設備」

は必ずしも一致しない。

例えば、多数のロボットや高機能な画像検査装置を組み合わせた設備。

展示会で見れば目を引くし、技術的な完成度も高い。

しかし、ある日ロボット位置がずれたとする。

ティーチングポイントは数百点。

再調整だけで膨大な時間がかかる。

検査条件も再設定。

品質確認もやり直し。

その間、生産は止まる。

確かに最先端かもしれない。

だが、私はそんな設備を管理したいとは思わない。

設備は「動いていること」に価値がある。

止まっている最新設備には何の価値もない。

■構想時に考えるべきこと

だから私は設備構想をするとき、

  • 部品はどう投入するか
  • 異常時に誰が復旧するか
  • 清掃しやすいか
  • 調整しやすいか
  • 品種変更しやすいか

といったことを重視する。

派手さはない。

しかし、実際に設備を使う人にとっては非常に重要な要素だ。

現場で設備と向き合うのは営業でも管理職でもない。

毎日設備を運用する現場の人たちである。

だから現場が困る構想は良い構想とは言えない。

■本当に目指したい設備

設備構想の議論をしていると、

「もっとロボットを増やせないか」

「もっと自動化できないか」

「最新技術を使えないか」

という意見が出ることがある。

もちろん新しい技術そのものを否定するつもりはない。

ただ、それが目的になってはいけないと思っている。

私が目指したいのは、

  • 安全であること
  • 品質が安定すること
  • 無理なく運用できること
  • メンテナンスしやすいこと
  • 必要な能力を確保できること

を満たした設備だ。

決して派手な設備ではないかもしれない。

それでも、

「この設備がないと困る」

と言われる設備なら十分価値がある。

■まとめ

設備構想では、どうしても能力や最新技術に目が向いてしまう。

しかし、本当に重要なのは導入後も使い続けられるかどうかだと思う。

高性能な設備よりも、運用しやすい設備。

複雑な設備よりも、現場が理解できる設備。

私はそんな設備の方が結果として長く活躍すると考えている。

設備を構想するときは、

「作れる設備か」

だけではなく、

「使い続けられる設備か」

という視点も忘れないようにしたい。

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