設備構想の打ち合わせをしていると、よくSQCDの話になる。
- Safety(安全)
- Quality(品質)
- Cost(コスト)
- Delivery(納期・生産性)
製造業に携わる人であれば、一度は耳にしたことがある考え方だと思う。
もちろん私も重要だと思っている。
ただ、設備構想をしていると時々感じることがある。
それは、
SQCDを意識しすぎると、かえって本質が見えなくなることがある
ということだ。
■SQCDを満たそうとすると悩み始める
設備構想の初期段階では、様々な要求が出てくる。
- もっと能力を上げられないか
- もっと安くできないか
- 品質保証を強化できないか
- 人を減らせないか
どれも間違った要求ではない。
むしろ設備開発としては自然な話である。
しかし、それらをすべて同時に満たそうとすると、設備構想はどんどん複雑になっていく。
ロボットが増える。
センサーが増える。
監視装置が増える。
機能が増える。
気が付けば、誰も管理できない設備になっていることもある。
■私は大まじめなSQCDから考えない
設備構想をするとき、私は最初から大まじめにSQCDで整理しようとはあまり思わない。
代わりに考えることがある。
それは、
- けがをしたくない
- 不良を出したくない
- 無理な働き方をしたくない
- 約束した納期は守りたい
という、人として当たり前の感覚だ。
当たり前すぎて拍子抜けするかもしれない。
でも実際には、この感覚から外れた設備は長続きしない。
■安全を犠牲にして生産性は上がらない
例えば、
安全柵を簡略化すれば部品投入は楽になるかもしれない。
インターロックを減らせばタクトタイムも短くなるかもしれない。
しかし、それでけがをする可能性が高くなるなら意味がない。
現場で働く人はロボットの能力を見て仕事をするわけではない。
毎日無事に家へ帰れるかどうかを考えながら仕事をしている。
だから安全は数字ではなく感情で考えた方が良いと思っている。
自分がこの設備を使うとして、怖くないか。
まずはそこだ。
■品質を作るのは設備だけではない
品質についても同じだ。
高性能なカメラを付ければ品質が上がるわけではない。
検査項目を増やせば品質が保証されるわけでもない。
設備が複雑になりすぎて運用できなくなれば、かえって品質は不安定になる。
品質は設備の性能だけでなく、
- 分かりやすい運用
- 異常時の復旧性
- 作業者の理解
によって支えられている。
だから私は、
現場が理解できる仕組みになっているか
を重視している。
■コスト削減にも限界がある
設備を構想していると、
「もっと安くできないか」
と言われることもある。
当然の話だ。
設備投資には予算がある。
しかし、安さだけを追求すると後で苦労する。
例えば、
- 保全しにくい機器を使う
- 特殊部品ばかり採用する
- 交換作業が困難になる
こういったことが起きる。
初期投資は下がる。
しかし数年後にはメンテナンス費用や停止損失で取り返される。
だからコストも単純な設備価格だけでは判断できない。
■納期は現場への無理強いではない
納期や生産能力についても同じだと思う。
1日1000個作れる設備は魅力的だ。
しかし、
- 部品供給を止められない
- 人が張り付き続ける
- 少しのトラブルで大きく能力が落ちる
そんな設備では現場が疲弊する。
設備は毎日使うものだ。
1日だけ能力を出せれば良いわけではない。
無理なく、安定して、継続して能力を出せることの方がずっと大切である。
■現場で考えるとSQCDは自然に決まる
設備構想で迷ったとき、私はよく
「自分がこの設備で働くとしたらどう思うだろう」
と考える。
すると不思議なことに、
- 安全であってほしい
- 品質は安定してほしい
- 無駄なコストは避けたい
- 納期は守りたい
という答えに自然とたどり着く。
これはまさにSQCDそのものである。
つまりSQCDは、教科書の中にある管理指標ではなく、
現場で働く人の当たり前の願い
なのだと思う。
■まとめ
設備構想ではSQCDが重要だと言われる。
それは間違いない。
ただ、最初からSQCDという言葉で考える必要はないのかもしれない。
- けがをしたくない
- 良いものを作りたい
- 無理はしたくない
- 約束は守りたい
そんな当たり前の感覚で設備を見つめると、結果としてSQCDのバランスは整っていく。
私は設備構想とは、数字を追いかける仕事ではなく、
人が無理なく成果を出せる仕組みを考える仕事
だと思っている。
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