「この設備が無いと困る」が最高の評価

工程設計

設備の構想や導入に携わっていると、どうしても設備の評価を数字で考えたくなる。

  • サイクルタイムは何秒か
  • 人員は何人削減できたか
  • 投資回収は何年か
  • 稼働率は何%か

どれも重要な指標だ。

設備投資である以上、数字で評価されるのは当然だと思う。

ただ、長年設備に関わっていると、別の評価軸もあるように感じる。

それは、

「この設備が無いと困る」

と言われるかどうかだ。

■100点の設備は存在しない

設備構想をしていると、どうしても100点を目指したくなる。

もっと能力を上げられないか。

もっと安くできないか。

もっと自動化できないか。

もっと新しい技術を採用できないか。

私も若い頃はそう考えていた。

しかし実際に設備を導入してみると分かる。

100点の設備など存在しない。

能力を優先すればコストが上がる。

コストを優先すれば機能を削る必要がある。

保全性を高めれば設備が大きくなる。

どこかを良くすれば、どこかにしわ寄せが出る。

だから設備構想とは、理想を追求する仕事ではなく、現実の中で最適なバランスを探す仕事なのだと思う。

■設備は導入して終わりではない

設備担当者は、どうしても設備が完成するところをゴールにしがちだ。

しかし現場からすると違う。

設備は導入された日から何年も使い続ける。

毎日生産する。

毎日メンテナンスする。

毎日トラブルと付き合う。

つまり、本当の評価は導入後に決まる。

設備導入時には高評価だった設備が、数年後には誰も触りたがらない設備になることもある。

逆に、見た目は地味でも長く現場で使われ続ける設備もある。

設備の価値は完成時ではなく、使われ続けることで証明される。

■文句はどんな設備にも出る

設備を導入すると必ず意見が出る。

  • 能力が足りない
  • もっと自動化できたはずだ
  • 最新技術を入れるべきだった
  • ロボットを増やすべきだった

中にはもっともな意見もある。

実際、改善のヒントになることも少なくない。

しかし、すべての要求を満たすことは不可能だ。

設備には予算もある。

工期もある。

設置スペースもある。

安全性や保全性も考えなければならない。

だから私は、

全員に褒められる設備

は目指していない。

それよりも、

現場が困らない設備

を目指している。

■本当に価値がある設備とは

私が設備構想をするときに大事にしているのは、

  • けがをしないこと
  • 品質を守れること
  • 無理なく運用できること
  • 納期を守れること

といった、ごく当たり前のことだ。

派手さはない。

展示会で注目を集めるような設備でもないかもしれない。

それでも現場が毎日安心して使えるのであれば、その設備には十分価値がある。

むしろ、そのような設備の方が長く愛されることが多い。

■最高の評価は感謝されること

設備担当者として嬉しい瞬間はいろいろある。

設備が完成したとき。

初回生産がうまくいったとき。

目標能力を達成したとき。

どれも達成感がある。

しかし、本当に嬉しいのは別のタイミングかもしれない。

導入から数年経ったある日、

「この設備が無いと困るんだよ」

と言われることがある。

それは決して派手な褒め言葉ではない。

だが、その設備が現場に定着し、仕事の一部になった証拠でもある。

設備担当者にとって、これ以上の評価はなかなか無いと思う。

■まとめ

設備構想では、つい100点を目指してしまう。

しかし、現実には100点の設備は存在しない。

だからこそ、

  • 安全であること
  • 品質を守れること
  • 無理なく運用できること
  • 継続して使えること

を積み重ねていくことが大切なのだと思う。

設備の価値は、導入時の拍手の大きさでは決まらない。

何年経っても現場で使われ続け、

「この設備が無いと困る」

と言ってもらえるかどうか。

私は、それが設備構想者にとって最高の評価だと思っている。

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